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末埼鳩のSF・幻想短編小説集。
皮の下になにがあるのか。皮の下はみんなおんなじ。
私の思想と祈りを詰め込んだ、生命への賛歌です。
挿画はゴトーヒナコさんにお願いしました。
楽園に着いた人の話、アリの国に招かれた人の話、馬がサイボーグになった未来の話、夜の街を歩く女子たちの話、カラスに生まれ変わった人の話、シェルターで暮らす夫婦の話など、7編収録。
動物と人間。生きることと死ぬこと。わたしたちの断絶と繋がり。世界の秘密に触れてみたいあなたに贈ります。
B6サイズ・100ページ
2025年11月23日発行
***
最初は血のような色をしていた。べたつかず、味も匂いもない綿菓子のような、濃密な赤い靄に包まれていた。どこから来たのか思い出せないが、歩いていかなければならないことはわかっていた。私は両手で靄をかき分けながら歩き続けた。靄は、触れると溶けるように消えてしまう。歩くにつれ、靄の色はどす黒い赤から鮮血のような赤へ変わっていった。光が強くなるとか密度が薄くなるというのではなく、ミルク色の別の靄が混ざってきている感じがした。現に今の靄はピンク色をしている。ピンクの靄の中をしばらく歩くと、急に視界が開けた。私は立ち止まった。
そこは見渡す限り広大な荒地だった。丘や谷も全て赤茶色の土が剥き出しで、背の低い植物がまばらに生えているのが見える。振り向くとピンクの靄は消えていた。私はとりあえず一番近そうな丘を目指した。その時初めて気付いたのだが、私は裸足だった。どれほど歩いても私の足は傷付かず疲れることもなかった。体中の感覚が靄に包まれていた頃と同じようにふわふわと穏やかだった。
(『楽園』冒頭より)
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